ユナイテッド93

重い・・・重かった・・・。動悸息切れめまいですよほんと。
一緒に行った友人と私はまったく違う見方をしていたようで、向こうはカメラワークで酔って見終わったあと「気持ち悪い」連呼。
私は内容の重さに疲れきって言葉もないという状態で映画館を出ました。
二人とも消耗が激しく、晩御飯食べる気力もなくわかれました。とはいえ、ちょっと自宅から遠いところで観たもので、そのまま電車にも乗れず一人で駅の中にあるサテンに入って30分呆然としてから帰ってきました。
友人いわく私と友人の違いは「感情移入の有無」だそうです。私は早々からいろんな人に感情移入してしまい、それが画面の不安定さとあいまって精神的ダメージを喰らい、友人は感情移入しないたちだそうで、ただただカメラワークに酔ったということらしいです。
「映画としてはあまりよくない」と友人は申しておりましたが、私はこれは知るべきことではないかと思いました。
テロとは言っても人事、日本で起きたことではないし・・・なんとなくみんなそう思っているけれども、いつテロの標的になってもおかしくないんだと改めて思い直しました。
私があの飛行機の乗客だったら、家族があの飛行機の乗客だったら、大事な人たちがあの飛行機の乗客だったら、いろんなことを考えてほんとに苦しい2時間でした。いつの間にか、私が、家族が、友人があの飛行機に乗っていました。
管制センターの場面がわりと多いのですが、出演者の何人かは本人がやられているようです。管制センターの緊迫感もすごい胸が締め付けられました。こちらは何が起きたのかを知ってるから「その飛行機は!」って思ってしまって。でも彼らはまだ何もわからない。
ただ、ユナイテッド93を含め、テロの犠牲になってしまった飛行機の乗員乗客は誰も生き残ってません。だから、この話はドキュメンタリータッチではあるけれども真実かどうかは判りません。これが真実でない場合、おそらく真実ははるか後世まで語られることはないのでしょう。
何かのために命を犠牲にすること、その重さをまざまざと見せ付けられた気がします。
何かを成し遂げようとする時でも、自分の命はもちろん他人の命を巻き込むことは絶対にしちゃいけない。
事件の犯人にはこうまでして成し遂げたいこと、やりたいことがあったのかもしれません。でも、飛行機の乗員乗客、ワールドトレードセンターやペンタゴンで事件に巻き込まれた人に罪はあるのでしょうか。彼らが犯人に何をしたのでしょうか。
未だに消化しきれず、どうしていいのかわかりません。
最後のとき、私は誰の声を聞くのでしょうか。誰の声を聞きたいと思うのでしょうか。誰かの声を聞くことはできるのでしょうか。