深呼吸の必要

悪いけどネタバレですよ!あと長いですよ!
深呼吸の必要 (初回限定版) [DVD]

沖縄で今も残る「キビ刈り隊」のアルバイトに参加した5人。明るく気のつくひなみ、無愛想な大輔、いかにも現代っ子な悦子、何もしゃべらない加奈子、訳ありっぽい最年長の修一。それぞれ事情を抱えて遠い沖縄までやってきた。手伝う平良家にはキビ刈り隊の先輩である豊もいる。偉そうな豊に嫌悪感を隠せない悦子や大輔。なかなか打ち解けられない5人。でもそれでもいい。ここでのルールは「言いたくないことは言わない」。仕事始めの日、5人はキビ畑の広大さに言葉を失う。この広大な畑のキビを期日までに刈り終えないと、平良家の家計は逼迫するらしい。来る日も来る日もキビを刈り続け、最初はぎこちなかったキビ刈りの腕前も上がってきた。しかし、ある日大輔が他の農家へ移ると言い出し、悦子は帰ると言い出した。誰も止めなかったが、結局戻ってくる二人。キビ刈りはだいぶペースが遅れていた。5人が束の間の休日を楽しんでいる間もおじいと豊はキビ刈りに出かける。ある日、キビを刈っていたところに以前平良家の近所に住んでいた美鈴がやってくる。看護師として働く美鈴も休暇でやってきたらしい。キビ刈りが一人、増えた。夕食の後、いまだに打ち解けていなかった豊と大輔が口論になる。以前、豊はこう言っていた。「ここには色んな人が逃げてくる」でも大輔は言った。「一番逃げてるのはあんたじゃないのか」大輔は将来を嘱望された高校球児だった。しかし大学の野球についていけず、挫折したのだ。ある夜、沖縄を大雨が襲う。キビ刈りの面々も途中で引き上げるが、豊は大雨の中、物資を取りに車で出かけた。なかなか戻ってこない豊。不安になった6人はおじいと豊を捜しに出かける。畑に転落しかけた車の中で、豊は足から大量に血を流して倒れていた。医者のいない診療所に運び込み、美鈴が手当をしようとするが出血がひどくて対応できない。ひなみがそっと修一に近寄った。「助けてあげてよ、お医者さんなんでしょ」ひなみは修一が白衣を着て子どもと写っている写真を見たのだ。しばしの逡巡ののち、修一はきびきびと美鈴に指示を出し、大輔から豊へと輸血の用意を始める。夜が明けた。修一はひなみにつぶやく。「子どもが好きで小児外科医になったけど、それはたくさんの子どもを看取らなければいけない仕事だったんだ」「昔ね、水泳のテストの前の日、緊張して眠れなかったらお父さんが言ってくれたの。泳ぐ前に、深呼吸するといいよって。深呼吸したら速く泳げるの?って聞いたら、速くはならない、でも楽しくなるよ、って」豊という貴重な戦力を失ったキビ刈り隊。休暇の期間が過ぎても残っていた美鈴だったが、ある時急に意識を失う。目覚めた美鈴に修一が問いかける。「何ヶ月?」美鈴は妊娠していた。「早く決めなきゃ、ね」納入期日まであと10日。でもキビはまだまだ残っている。「今年は無理かな」業者に言われておじいが答える。「なんくるないさ」どういう意味?と聞いた5人に豊が教える。「なんてことない。なんとかなるさ、ってこと」次の日、朝起きると加奈子がいなかった。探したがおらず、キビ畑に行くとなんと加奈子はもうキビを刈っていた。「そうか!1時間早く起きればいいんだ!」みんなは明日から1時間早起きしてキビを刈ることにした。加奈子に、笑顔が戻った。次の日から、朝早くから夜暗くなってもキビを刈り続ける7人。豊も松葉杖で頑張っている。業者がそれを眺めて言う。「今年は当たり年だな」とうとう、キビは最後の7本になった。ひなみが刈ったきびを一人一人に手渡していく。視界の限りに広がったキビ畑は、もうない。

いい映画でした。家族が出かけている隙にじっくり見ようと思ってたのに2時間半も早く帰ってきやがったのでブツ切れで見ることになってしまったのが残念。
メゾン・ド・ヒミコがなければ上半期で一番だったかも(あくまで私が見た日基準だ!)、というわけで今のところ今年上半期ベスト2です。っつっても本数見てないけどな。
もっとゆっくりじっくり見たかったな。
ただ、言わせてもらえばだ。「訳あり」ってことを最初にけっこう強調したくせにイマイチ人物像が甘い。タニショー先生演じる修一とか成宮くん演じる大輔とかはちょっと出てきたけど、それでも甘いもんなあ。現代っこの悦子がなぜ来たのかとか、なんで加奈子はしゃべらないのかとか全然ないし。あと、主人公のひなみも確かにいい子なんだけど、なんつうのかなあ、人物の描き方に深みが足りないのでつかみ切れませんでした。2時間で7人全部描けっていうのはキツイかもしれないけど、だったら訳ありっぽいのをもっと減らすとか。
あと、タイトルが「深呼吸の必要」っていうからには何かもっと深呼吸に絡めてくるのかと思ったらそうでもなく、要所要所で深呼吸でもするのかと思いきやそうでもなく、もっと印象的な強いエピソードが欲しかったかなあというのがちょっと不満。
でも、総評としてはいい映画でした、ほんとに。ひたすら身体動かすっていうのはいいリセットになるよな、ほんとに。
一人で早起きして畑に行った加奈ちゃんが笑ったとき、不覚にも涙が出そうになりました。
でもあんなさあ!カーテンで仕切ってるとはいえ男女が同じ部屋でなんてさあ!落ち着かないもいいところじゃないっすかねえ!
まあそれが醍醐味って言える人じゃないと行けないってことか。あとは慣れか。