誘拐の果実 真保裕一

誘拐の果実 (上) (集英社文庫)

病院長の孫の恵美が誘拐された。病院長の娘婿である副院長は誘拐犯から「娘を帰して欲しければ一人の入院患者の命をなきものにすること」との電話を受ける。電話から響き渡る娘の「助けて!」という叫び。家族と警察はマスコミをも欺き、誘拐犯をだますある「工作」をうち立てる。そのころ、隣県では違う誘拐事件が発生していた。誘拐されたのは大学生・巧。前代未聞の身代金の形式に捜査陣は舌を巻く。果たしてこの2件の誘拐事件に関連性はあるのか。そして人質は無事に帰ってくるのか。犯人と警察の壮絶な頭脳合戦が始まる。

と適当にまとめたところで。なかなか面白かったです。
親子の確執、出生の秘密、株の不正譲渡などが複雑に入り組み、意外な結末へと持っていきます。
善とはなんなのか、悪とはなんなのか。どこかでその線引きを曖昧にして折り合いをつけて生きている現実。
最後はちょっとできすぎかな、とは思いましたがまあ小説って事で。
主人公が一人ではなく、色々な視点からマルチで書かれていて面白かったです。緊迫感あふれる小説で読み応えアリ。
ただいま模倣犯に取りかかっております。3巻目。