優しい時間

うるっと来たのが、大竹しのぶ演じる奥さんが、寺尾さん演じる勇吉に「何で早く帰ってきてくれなかったの?」っていうところ。
前の年にサンタクロースの格好をしたら、子供に大泣きされた、という「森の時計」でのマスターの昔語りのあとの回想シーン。
前の年には大泣きした拓郎が、今年はとっても楽しみにしていたのに、そんな時にはパパは早く帰ってこない(サンタは来ない)。
そして待ち疲れて寝てしまった拓郎の枕元には「サンタさんプレゼントおねがいします」と手書きの手紙。
なんかねえ、あの二人の関係を如実に表していて泣けた。
拓郎がそばにいて欲しいときに、勇吉さんは拒絶する。勇吉さんが会いたくなったときに、拓郎は逃げていく。
その回想シーンの終わりに、勇吉は拓郎の寝顔を離れたところから見つめながら(近くで、というわけではないところがまた・・・)、「今度(海外赴任から)帰ってくる時には、拓郎はもう小学校に入っているな・・・。俺はどんどん拓郎から離れていく」とつぶやく。
とても印象的なシーンでした。
超久しぶりの梶原善とか霞むくらい。
父親と息子って言うのは、難しいものなのかもしれない。でも、あの二人は、父親と息子の関係が希薄になる前の、一緒になって遊ぶ時期の関わりが薄い。だから、奥さんが亡くなったときの二人の関係もうまくいかなったのかな。
勇吉は拓郎を憎んでいる(た?)、とかではなく、どう接していいのかわからなかった、関係が希薄だから相手を思いやることができなかった、ということなんじゃないかな。
あくまで推論ですが。勇吉さんと奥さんの間に(勇吉さんからすれば)太い絆はあったけれども、拓郎とは築けなかった。だから、愛している奥さんが亡くなったときに、拓郎に対して、「拓郎の気持ちを慮ってやる」ことができなかった。
それにしても、私が拓郎だったら、そんな親父はさっさと捨てているかもしれない。
あの事故は、母親が何を問いつめていたか知らないが、拓郎ひとりの責任ではない。運転している状況で、横から手を出したりぐだぐだと文句を言う方も、悪いと思う。
拓郎に何を問いつめていたのか。これは今後明らかになってゆくのだろうけど、周りの人々の腫れ物にさわるような拓郎の扱い方を見ていると、よほど重い話題なのか。

あと、あずがあの二人を会わせようとしたこと。気持ちはわかる。マスターの気持ち、拓郎の気持ち、その二つを重ね合わせてあげたかった。
でも、あんな状況で再会しても、事態は好転するとは思えないんだが・・・。

相変わらず木村多江はステキ!あんなちょっとじゃなく、むしろ未亡人役を木村多江にやって欲しかった!!

あずがお皿を割らなくなる日は来るのだろうか。(でもあのペースで皿割ってちゃ店の経営に係わるんじゃ・・・?)